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急増している脳梗塞

急増している脳梗塞は大きく三タイプに分かれそれぞれ起こる原因も異なる

島根大学医学部付属病院院長 小林祥泰先生
「安心 2006.2」より

 ダイエー創業者の故・中内功さん、元首相の故・小渕恵三さん、元巨人軍監督の
長島成雄さん、芸能人の西城秀樹さんや坂上二郎さん、映画監督の大島渚さん、
女優の真屋順子さん、学者の栗本慎一郎さん、それに落語家の三遊亭円楽さん・・・。
 
 ここまで名前をあげていくと、察しのいい方なら、すぐにある病名が浮かんで
くるかもしれません。
「脳梗塞」です。

 マスコミに登場する多くの著名人が次々に脳梗塞で倒れていることから、
この病名がすっかり有名になりました。

脳卒中全体の70%が脳梗塞

 脳梗塞は、脳卒中の1種です。
かっては脳卒中の大半を占めていたのは脳出血でしたが、現在、最も多くなったのは
脳梗塞で、脳卒中全体の7割以上を占めています。
 治療法の進歩により、脳卒中で命を落とす人は減りつつあります。
そのため、脳卒中の患者さんが減ったような印象を与えていますが、
決してそんな事はありません。
 死亡者は減っていても、脳梗塞の患者さんそのものは増えています。
高齢化社会を迎えて、その傾向にさらに拍車がかかっているのが現状です。
最近、有名人が相次いで脳梗塞で倒れているのは、その事実を端的に
物語っているのです。

 脳梗塞は、脳を養う血管が詰まる病気で、大きく分けると
次の三つのタイプがあります。

①微小脳梗塞
  脳の細い血管に動脈硬化が起こり、詰まってしまうもの。
  「ラクナ梗塞」というのが正式な呼び名です。

②アテローム血栓性梗塞
  首や脳の太い血管の内側にコレステロールの塊ができ、そこに
  血小板が集まって動脈を塞いでしまうもの。

③脳塞栓
  主に不整脈(心房細動)で心臓(心房)にできた血栓(血の塊)が
  流れていって、脳の血管をふさいでしまうもの。
  これを「心原性脳塞栓」といい、脳梗塞の中では圧倒的に死亡率の
  高い病気です。

 いずれにせよ、脳梗塞が起こると、脳細胞が受け取る血液が途絶えてしまう為に、
脳細胞が壊死します。
その場合、重い後遺症が残ったり、時には命に関わるような事態が
引き起こされることもあります。
逆に、症状が全くない事もあります。
 脳梗塞の代表的な症状は、次のようなものです。
これらの症状がいくつか組み合わさってあらわれてきます。

脳梗塞の危険サイン
次のような症状が現れたら要注意!
脳梗塞は閉塞した部位によって症状は異なるし、
突然現れて数分後には消える事もある(一過性脳虚血発作)
運動障害
 体の半身の筋肉が動かせない、
 力が入らない
失語症
 言葉の意味がわからない、
 言葉が出てこない
感覚障害
 体の半身がしびれる、
 感覚が鈍くなる
視覚障害
 視野の半分が見えなくなる、
 物が二重に見える
構音障害
 ろれつが回らない
失行
 知っているはずの日常的動作の
 手順がわからなくなる
失認
 周囲の環境や体の認識ができなくなる
半空間無視
 左右どちらかにあるものが、
 見えているはずなのに認識できない失語症
失調
 フラフラして立てない、
 うまく歩けない
めまい
 目が回るようなめまいが起こる半空間無視

 脳は全身を支配している司令塔です。
体を動かすのも考えるのも、又うれしい、悲しいなどの感情も、さらに物事を
判断するのも認識するのも、全て脳の働きです。
 脳の各場所の分担は最初から決まっていて、脳のほかの場所が
すぐにその仕事を代行するわけにはいきません。
 そのため、脳梗塞で脳細胞がやられてしまうと、その部位によっては
様々な症状が現れてくるのです。
 上のような症状があれば、一刻を争いますから、躊躇せずに
救急車を呼んでください。
早期に治療にかかれば、その分回復も期待できます。

微小脳梗塞の多発が認知症の主な原因

 では、脳梗塞についてもっとよく知っていただく為に、
タイプ別に脳梗塞の特徴をみてみましょう。

①微小脳梗塞
 これは性格にいうと、脳の深部に通じている穿通動脈という、
細い動脈に起こる病変です。
動脈硬化といっても、この場合はコレステロールなどの脂質が沈着するもの
(粥状じゅくじょう動脈硬化)とは異なり、血管
②アテローム血栓性梗塞
  
③脳塞栓(心因性脳塞栓)
 脳の動脈に異常が無くても、主に心臓で出来た血栓が血流に乗って流れてきて、
脳の血管を詰まらせてしまうのがこのタイプです。
 もともと血管には動脈硬化が無いので、副血行路の準備もできていません。
そんな時に、脳の太い動脈が血栓で詰まると、脳が広範囲にやられて、重症の
脳梗塞となります。
発症時にいきなり重い症状が現れて、発症後4~5日以内に死亡する例が
少なくありません。
 微小脳梗塞が軽症とするなら、
アテローム血栓性梗塞は中等症で、脳塞栓の場合は重症の脳梗塞となります。
 
 原因のほとんどは不整脈(心臓の拍動のリズムの乱れ、不規則になる状態)の
一つである心房細動です。
心房細動は若い人にはあまり見つかりません。
しかし、年を取ると、めずらしくなくなります。
私たちの調査では、脳梗塞を起こした80歳以上の人には、
約3分の1も見つかっています。
今後、高齢化社会の日本で最も注意しなければならない脳梗塞は
この脳塞栓と考えられます。

脳梗塞について「安心」の2006.2月号に詳しく掲載されています。

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